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CubeギガオーバーDual化計画 ~Massimo Cube大地に立つ~

Road to Massimo Cube Vol.007

そう、私はとても焦っていた・・・
MassimoCubeを提唱してから早1年半。
様々な改良を重ねCubeの可能性の扉を開き続けるごとく邁進してきた。その軌跡はすこぶる順調に進んでいたようにも見えたが、ある問題を内包しながらのものであったことは否定し得ない。私の脳裏に立ちふさがり続けた大きく分厚い扉・・・それは1GhzDualオーバーに絶え得る電力の問題。

前回レビュー後、私は極秘に様々なトライを試みた。テスト的にCubeに7455Dual1Ghzを搭載してみたりもしたが、猛烈な消費電力と発熱にCubeの脆弱な電力はまるで歯が立たなかった。MassimoCubeには7455を超える低消費電力のCPUが絶対必要条件。その事実がさらなる重苦しい扉となり私の前で完全に塞がった。Massimo化はもう無理ではないかというあきらめムードがムンムン漂い始め、「こんなこと始めなければよかったよぅ」と後悔さえもした。

ゴメンナサイしてこの連載も終了するのか?それともわずかな可能性を待ち続けるのか?結論づける事が出来ないまま葛藤は半年以上も続き、焦燥は最高潮に達した。

そんな折り、ビックチャンスが訪れ、私はついに扉を開いたのである。7457Dualという鍵を用いて。

 

■Step 1

Cubeユーザーへの福音、Massimo化の鍵となる低発熱で低消費電力なCPU G4 7457。

(2003/10/22)こいつを使用したCPUアップグレードカード, PowerForce Dual G4 1.2GhzがPowerlogix社から発表された。

ラインナップ上にDual 1.2Ghz以上しかないことにやや不安を感じたが、スペック上では7455の1Ghzよりも消費電力は低いはずである。もちろんCube用ではなくPowerMac用に開発されていることは百も承知。ともかくこれでチャレンジするしかない。私は迷う事なく海外ネットShopでモノをカートに入れ、予約した。そして、待つこと1ヶ月余、待望のCPUが到着。

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届いたたら即開封、即内容確認。直ぐさま目についたのは7457upgradeと手書きで書かれたCD-Rメディアとアップグレード注意書き。読んでみると7457CPUを認識させるにはファームウェアのアップグレードが必要なので付属のCDロムでやってアップデートしてちょうだいとのこと。予定外の仕様に私は青ざめた。これCubeに適応できるのかよ...(手順書のPowermacG4のイラストが一層不安を増強)これが使えなければここで終わってしまうがやるしかない。だめもとでCubeにファームウェアアップを敢行。すると意外にもあっさりとアップグレードできてしまった。一安心した後、CPUカードに取り付けられている巨大なヒートシンクを外す。(いじり防止ねじで固定されていたのでかなり手こずった)

 

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CPUが2つ付いている事に少しウットリし、私はおもむろに用意していたブツを取り出した。それは"Massimo専用拡張ヒートプレート"。数ヶ月前から来るべく日のために開発していた至高のヒートプレートである。ヒートプレート後部にはヒートシンクとなるべき溝を入れてある。装着してみると想像以上にGood looking!

しばしの観賞した後、ひと先ずCPU部をCubeに取り付けて起動を確認してみた。タッチスイッチは白く光り、Cubeは起動を始めたものの、アップルマークがでたところでフリーズ。普通に取り付けただけでは完全に起動しきれないようである。いくら低消費電力のCPUといえども1.2Ghzが2つでは電源パワー電力不足は必至なのだ。でも、私は全く落胆しなかった。いや、むしろ口元には笑みがこぼれていたかもしれない。そんなことは取り付ける前からわかっていたのである。

 

■Step 2

PowerLogixのDualCPUは7455仕様のころから安定した電力を補うために5Vの電流を直接CPUに送り込む方法を採用している。旧式のロジックボードでは大電流がまかなえないと考えたのであろう。CPUカードから伸びる電源コードはハードディスク等に電源を供給するコネクタに接続することになっている。この方法はそれなりの電源を積んでいるPowerMacではたいした問題にはならないが、Cubeにおいては事情が異なってくる。同様の方法をCubeで用いれば結局非力な電源ボードを痛めつけることにしかならない。

不用意に内部電源を利用するものならば、電源ボードが破壊され最悪Cubeを全損する恐ろしいシナリオも考えられる。CPUカードから伸びる電源コード。危険なトラップのようであるが、Massimo化の突破口であることは事実。はたしてこの電源コード、どうやって使うべきか?

この問いに対しても私はあらかじめ答えを用意していた。Cube内部で新しく5Vの電流を作り、そこに繋ぐのである。

 

■Step 3

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5Vの電源を作るといっても電源ボードから電流を取ったのでは意味がない。Cube内でありながらもCubeで使われない電源を利用しなければならないのだ。これは一見矛盾しているようだがちゃんと存在している。ずばり、ADCモニタに供給される電源である。(ここでCubeの電源をひも解くと、先ず外部ACアダプタでAC100VからDC28Vに変換し、その28VがCubeにプラグインされ電源ボードで12V,5V,3,3V等に変換される仕組み)ADCモニタの電源はCubeプラグイン直下で分岐されDC28VをそのままスルーしてAGPスロットを経由して供給されているのである。(よって電源ボードには経由しない)すでにADCへの別電源化は済ませてあるので、私はこの新鮮で生きの良い28Vを横取りし、DC-DCコンバーターで5Vを作る事にした。(ADCの別電源化はDVI-ADC Kitを利用してもよい)

28Vから5Vへ変換できるDC-DCコンバーターで小型かつ高容量なものはそう多くはない。その中から使い勝手の良さを吟味し採用したのはCOSELのDC-DCコンバーター。大きさはマッチ箱より一回り大きい程度であるが5V4A出力となかなかのハイパワー。今回は2個並列に繋ぎ最大40W(CPU1個分)を補う。ただ単にコンバーターの入力段につないだだけでは常時給電されてしまうのでメイン電源のON,OFFと連動するためのリレーも用意した。(機械式だとカチリ音が嫌なので無接点リレーを採用)これらをアルミ板に配置(強力両面テープと熱伝導シートを利用)して、コンバーターの放熱も考慮。5V出力段にはDCノイズフィルタ能力の高いOSコンデンサを設置。Massimo用サブ電源ユニットの完成である。

 

■Step 4

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サブ電源ユニットはHDDと光学ドライブの間のスペースに配置することにしていたが、移動済みの電源ボードとファンコントローラーも収めるとなるとまさにパズルの形相である。(もちろん電源ボード移動ケーブルはspirica謹製に交換済み)面倒ついでにこの際、クーリングアフター機能も完全実装することにした。クーリングアフター稼働中の電源のために超小型DC-DCコンバーター(in28V,out5V1A)を追加。このコンバーターは高効率なので常時給電しても負荷がなければほとんど発熱はない。28V入力はロジックボードDCイン部裏面から取る事に。あーでもないこーでもないと配線に悩まされながらもなんとか配置完了した。

さすがにこれだけのユニットを収めてしまうと元のDVDドライブは入らなくなってしまう(ドライブのコネクタ周りが邪魔)のだがそこは問題ナッシング。予めMassimoにふさわしい現時点で最強のスロットイン型光学ドライブUJ-815Bを用意していたのである。(DVD-R/W,DVD-RAM,CD-R/W,DVD-ROMなんでもござれのおいしいドライブです)ついでに、HDDも最強最速Hitachi Deskstar 7K250 120GB 8MBキャッシュ(OS入れ済み) に換装しときましょう!ドライブ最強タッグをガッツリ取り付けて、ググッとMassimo度はアップした。

 

■Step 5

ここまで改良した時点で既に稼働は可能な状態にはあるが、あくまで完成ではない。なぜならMassimo Cubeは単なるモンスターマシンであってはならないのである。

「強くなくてはMassimoではない、だが、やさしくなければMassimoである資格はない」

そう、Cubeの本質は静音性。ここを外してはCubeではない。1.2GhzDualでありながらも出来る限り静音性を保つのがMassimoCubeの美学なのである。

と、えらそうなことを言いつつもCubeの筐体は狭く、排熱も制限される。現状では内蔵したファンがブンブン回りエレガントさは台無し。7457Dualは確実に7455Dualよりも発熱はマイルドになっているが、1.2Ghz2個ともなるとやはり辛いのは確か。

これまで冷却には尽力したが、すでに頭打ちの感が否めない。これ以上の冷却は圧倒的なブレークスルーが必要である。どうすればいいのだ・・・あらためてCube内部を見回してももう拡張の余地はないように思える。いくら考えても良い案は浮かんでこない。私はまるで登頂成功間際で悪天候にさらされた登山隊員のように焦りまくった。もはやこれまでか、寒い、救助隊を・・・・。

その時であった。ざわめく厚い雲の隙間から一筋の光明が差し、あの声が聞こえたのは・・・

「ゾウモウシマショウ、ショチョウ。」

ス、スチーブ君、久しぶりじゃないかぁ!しかもいきなりわけわからんぞ。ゾウモウが必要なのはむしろ君の方なのでは?・・・はっ。いや待て、そうか。あれを増やせばよいではないか!

スチーブ君の体をはったアドバイスのおかげで私は再びMassimo登頂の路を踏み出せた。もう会えないのかもしれないけど君の事は決して忘れはしない。ありがとう。スチーブ君!カミを、大切に。

 

■Step 6

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Cubeの静音性を最も象徴する巨大なCPUヒートシンク。ノンファン運用を想定し、フィンの隙間を大きくすることで熱対流を阻害しない仕様になっている。しかしながら、CPUをアップグレードし、ファンとの併用ともなるとこのフィンの隙間では風が通り抜けるばかりで熱交換のロスは大きい。(しかもファンを搭載しても実際にヒートシンクに風があたってる面積は少ない)

この宿命的な行き詰まりを打破すべく完成したのがアルミニウム製「Massimo専用CPUヒートシンク++」。(こだわりの黒酸化皮膜処理してます)こいつを巨大ヒートシンクのフィン隙間に埋め込めば圧倒的に放熱面積(約3倍)を増やすことが可能なのである。いわばヒートシンクのゾウモウ!(ショクモウかも)つけた感じは壮観である。(固定は熱伝導剤入り接着剤にて行います)

そして冷却能力UPはこれだけに止まらない。実はMassimo専用拡張ヒートプレート(Step1参照)のヒートシンク部裏面には0.3mmの銅板を挟み込める隙間を作っておいたのである。銅板は熱的に余裕のある前面のアルミパネルまで熱をぐるっと持って行く。仕上げにアルミファンにも熱を伝導して冷却を促進させる。

もう、私にやれることはやった。あとは祈るのみ。

 

■Step 7

はやる気持ちを抑えながら各部を再度点検した後、神妙な心持ちで電源ON。Appleマーク、インジケーター画面を通り過ぎ、完璧にデスクトップまで表示しきった。感動にうち震えながら、先ずはsafari,Mailなどを使ってみる。

速い。それでいて力強い。たくさんアプリを立ち上げてもへこたれ感なしに操作はサクサク行える。その快適さといったらまるで怏々と茂った草むらを2台の高性能草刈り機で進んでゆくような爽快感。うーん。やっぱり1.2GhzDualは伊達じゃない!

そして気になる発熱だが、起動後2時間経過したところでCPUヒートシンク++の温度は48℃前後。(室温約18℃ ファンコンの設定はやや静音より)ファンノイズも以前に比べれば増してはいるが耳についてうるさいという程でもない。

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ついに、Massimo Cube は完成した!

 

■Massimo Cube スペック

CPU G4 7457 1.2Ghz Dual (Powerlogix PowerForce Dual G4 1.2Ghz)
Memory 1.5GB
HDD Hitachi Deskstar 7K250 120GB
Video card ATI Radeon9000 (64MB)
Optical Drive Matsushita UJ-815B

使用アイテム (spirica製)
Massimo専用拡張ヒートプレート
Massimo専用CPUヒートシンク++
電源ボード移動キットHGタイプ
Radeon9000拡張ヒートシンク
HDDアルミカバー
バックサイドヒートシンク

 

■所長の総評

Cubeで1GhzオーバーのDualCPUを搭載してみたい。なんとなくはずみで立てた無謀なMassimo Cube計画がとうとう実現してしまった。もちろんうれしさはひとしおだが、先ずは達成できた事への安堵感の方が大きい。振り返ってみると人生の中でもここまで執拗にして目標を達成したことはないかもしれない。(少なくとも受験勉強よりはよっぽど苦労してると思う)

できあがったMassimoCubeは私にとってはややオーバースペックではある。冷静に考えてみると、なにもここまでやる必要性はなかったのではないかとふと思ってしまうこともある。なぜにこんなにCubeに惹き付けられるのか自分でもよくわからない。たかがCube、されどCube。

単に四角いコンピューターなのだけど、私にとってはしばらく魅力は就きそうにない。