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電源ボード移動計画 ~EXODUS《出GB室内記》~

Road to Massimo Cube Vol.005

今最もCubeユーザーの注目がそそがれているCPUアップグレード。Cubeを液晶iMacと同等もしくはそれ以上の性能にできるというステキ極まりないアイテムがSonnetとPowerLogixの2社から供給されている。しかしながら、現時点では製品としてまだまだ安定しているとは言いがたく、様々な問題が露呈する暗雲の状況。

その中でも、もっとも深刻なのが電源のトラブルで最悪の場合Cubeの電源ボードが発煙する事例まで出ている。CPUアップグレードによる電力の負荷が電源ボードの発熱を促すことは避けられない事実である。発熱が直接的に故障のトリガーになるとは言い切れないが、できるだけ故障の要素は取り除いておきたい。

しかも、1GDualマッシモの場合は発熱がさらに激化することが予想される。是非ともこの弱点を克服しておかなければならないのである。とはいうものの、困ったことに電源ボードはCubeの筐体中で最も熱いグラフィックボード室内という劣悪な環境にある。グラフィックボードの熱と電源ボードの熱という迷惑なコラボレーションを打破するためには、電源ボードを移動させるしかない。

海外のサイトにはRadeon8500を装着する方法として電源ボードの移動を紹介しているが、この方法をさらにブラッシュアップさせることにする。(電源ボードが移動することによって、グラフィックボード室内の温度低下も期待できる)同じことをやるのでなく、ここはイシダ製作所のエッセンスをたっぷりと効かせることにしよう。

 

■Step 1

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電源ボード移動させるにはロジックボートと電源ボードのコネクト部を延長させなければならない。コネクト部は30ピン。では30ピンの延長ケーブルを買ってくればよし。単純な発想でケーブルを買いに行ったのだが、そうは問屋が卸さなく、どこを探しても売っていない。考えてみれば30ピン規格のデバイスなんてそうは無いし、さらに片方がオスピン、片方がメスコネクタとなると需要がなさ過ぎるのである。こうなったら自分で作るしかない。で、用意したのが、30ピンメスコネクタと30ピンオスコネクタ。ケーブルは取り回しやすさと筐体内の通気性を考慮してFDDのスリムケーブルを採用。FDDケーブルには34ピンのコネクタが付いているのでそれを交換することにする。(4本の線が余るがカットすればよい)

ケーブルの長さは予め移動先のDVD-ROMドライブ付近までを実際に取りまわして無駄のないようにカット。ケーブルの色を辿って一本、一本配線を外して付け直すという恐ろしく地味で時間のかかる作業を耐え抜き、なんとか延長ケーブルが完成。テスターで通電、配線に誤りがないかを十分にチェック。チェック完了後、ケーブルのオス側を電源ボード、メス側をロジックボードに挿し込み、スイッチON。

だが、Cubeはしらけ切ったようにうんともすんともいわない。電源ボード上のグリーンランプも点燈していない状態である。なぜなんだ。間違いはないはずである。断線があるのかもしれないと何度テスターにて通電テストをやっても同じ結果。

日ごろは温厚な私もだんだんと苛立ちはじめ、「チクショー、このクソCube・・・」と悪態までつきそうになる始末。だが、そんな荒れた心に染み入る聖水のように、またしてもあの声が聞こえた・・・

「ナンジ、カシンスルコトナカレ。ショチョウ。」

はぅっ!これまでの成功ですっかり自信過剰になっていた私に痛烈な戒め。心を正し、よーくケーブルをチェックすると大きな間違いに気が付いた。ピン配置が逆である。これではいかん!すぐさまピン配列をやり直す。(1,2,3,4・・・という配置を2,1,4,3・・・という配置に変える)配列を直し、テスターチェックで小一時間経過後、再びスイッチON。見事にCubeは起動した。

ありがとう。スチーブ。君の一戒、決して忘れはしない。

 

■Step 2

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ケーブル延長が成功した後はとっとと組み込めば良いだけ。だが、そんなお手軽な作業だけではイシダ製作所の名が廃る。電源ボードに工夫を凝らすことにする。放熱的に余裕のあるDVD-ROM付近に移動するだけでも効果はあるのだが、さらなる冷却の為にアルミプレートを加工し、基盤チップの冷却板を作成。発煙事例で焼けていたとされるチップ部の熱をアルミプレート全体に伝導するようにした。このアルミプレートは電源ボード自体の固定にも役に立つのである。(もちろん基盤下とは絶縁するようにスペースを開ける)

 

■Step 3

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とうとう電源ボードの組み込み開始。スリムケーブルをなるべく筐体底の通風口を塞がないように取り回す。電源ボードは縦に配置し、今後の拡張の邪魔にならないようにする。(空いているところに何をいれるかはヒ・ミ・ツ)

電源ボード自体のの固定は金属用の強力厚手両面テープで行う。この配置にするとHDDへの電源ケーブルが届かなくなるのであるが、DVD-ROM側にDC延長コネクタを使用してなんなくクリア。その他すべてのパーツを組み込み直し、電源ON。何の問題も無くCubeは起動した。

 

■Step 4

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電源ボード移動成功に酔いしれるもつかの間、眼下にある一点のスペースにくぎ付けになる。それはポッカリと空いた電源ボードがいたスペース。実測ではたいした事の無い小さなスペースなのだが、これは非常に意味のある重要なスペース。そう、いままで電源ボードという大きな壁に阻まれて諦めていたグラフィックボードが装着できるのである。(念願のRadeon系の高速ボードが取り付けられる!)あー、何つけよう。さー、どうしようと迷いの期間が過ぎ去ること数週間。 待望のRadeon9000proが発売されるとさっそく取り寄せて装着を試みた。

祈る気持ちで取り付け開始3分後、早くも障害発生。ADCコネクタの固定ツメの一方が筐体コネクタ回りに干渉して入らない・・・(しかも、あともう少しというところで入らない猛烈なジレンマ)Cube筐体のコネクタ回りを切り崩すか、ADCコネクタのツメを折るか。重要な二者択一。のはずだが30秒後にはペンチでADCコネクタのツメの金属疲労を開始する。だって大事なCubeには傷を入れたくないし、ADCモニターも取り付けられなくなる訳でもない。金具を折るとスコッとCubeに収まった。(入らないものが入ると妙にウレシイのはなぜ?)だが、このままではRadeon9000proを固定するものがAGPスロットだけという不安定な状態なので、ブラケット着けない派なりの方法考える。ブラケット部は薄いアルミ材でギャップフレーム金具を作成。上部排気口付近にもアルミで金具を作成し、ボードを完全固定。

シェルを被せて動作チェックする。問題なくRadeon9000は認識された。電源ボードを移動したせいか、内蔵ファンのみでもグラフィックボード室内の温度は53℃前後で安定。(Radeon9000pro自体の発熱が小さいこともある)

外観には全く変化はないのであるが電源ボード移動+Radeon9000pro搭載は想像以上の達成感。やりましたよ!!

 

■Extra

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Radeon9000の冷却を促進する為に、当イシダ製作所が開発したRadeon用拡張ヒートシンクを装着した。これにより通常使用下でのヒートシンク温度はまで低下。Radeon用拡張ヒートシンクはファンを搭載しない構造なので14℃の温度低下に留まる。このままでも十分な効果ではあるが、ノンファンでありながらもさらに冷却をすすめる方法を考えることにした。

既に温度の上がったグラフィックボード室内でこれ以上の冷却を行うのは難しい。ならば放熱に余裕のあるところに熱を移動させればよいのである。

それを実現したのは+αことヒートアングルである。(銅板を曲げただけだが・・・)ビデオカードコア付近の熱をCubeのサイド側に配置した大き目の銅板に伝えるだけなのであるが思った以上に効果が現れた。(拡張ヒートシンクと銅板の間は熱伝導ゲルシートを使用、サイドの銅板からはCubeのフレームに銅箔テープでさらに熱伝導してある)これによりRadeon9000のヒートシンクの温度は58.3℃まで下がった。(拡張ヒートシンクの無いノーマルの状態に比べると20℃近い温度低下である)この熱移動方法は電源ボードを移動していなくても応用することができる(すきまを通せばよい)ので他のグラフィックボードを使用しているユーザーにも試して欲しい改良である。

※使用したアングルは腐食を避ける為、表面のみメタルカラー塗装しています。(見た目を良くしたかっただけという話もある)

[ 通常使用で2時間経過後のRadeon9000上のヒートシンク温度 ]
Radeon拡張ヒートシンクなし 77.7℃
Radeon拡張ヒートシンクあり 63.5℃
Radeon拡張ヒートシンク+α 58.3℃

 

■所長の総評

電源ボードの移動。言葉に表せば一言であるがCubeにとっては大きな意味をもつ。主な効果を挙げれば以下の3点。

・電源ボード自体の冷却(高熱による故障を未然に防ぐ)
・グラフィックボード室内の温度低下(グラフィックカードとの熱の競合を回避)
・グラフィックボード選択枠の拡大(低発熱で高速なボードを取り付けられる)

DualCPU搭載は熱との闘いが予想されるのでこれらの要素は必ず強力なサプリメントとなって効いてくるはずである。DualCPUを装着済み、あるいは装着を考えているユーザーには是非とも挑んでもらいたい改造である。(ケーブルを作る根気があれば大丈夫。だと思う。)

今回の大幅な改善でますます1GDualCPU搭載への可能性が飛躍した。堀は確実に埋まりつつあるようだ・・・

※延長ケーブルを作る際は必ずテスターで配列と通電のチェックを十分にしてください。間違えるとロジックボードを壊すことになりかねません。