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PowerMacG4 (DigitalAudio) 水冷化

Others Vol.008

暑い夏を前にしてPowerMacG4水冷第3弾です。
今回は大阪府のSASUKEさんよりご依頼を受けました。PowerMacG4(DigitalAudio)にSonnet 1.3Ghz Dualを搭載したものの、とにかく発熱が酷くて安定動作せず、どうにもならないとのこと。かなりのじゃじゃ馬なマシンに見受けられますが、オレゴンの老練なカウボーイになったつもりでビシバシ手なずけたいと思います。

 

■Step 1

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届いたマシンを早速動作チェックして、まず驚いたのが筐体内の熱の高さである。
話には聞いていたがとにかく熱い。30分稼働した状態でハッチを開けば「ムアッ」という熱気が襲ってくる。原因を紐解いていくとそれもそのはずで、CPUは発熱の高い7455のDual1.3Ghz。CPUカードのヒートシンク部にはファンがついているもののDigitalAudioに搭載した場合はエアフローが筐体の背面通気口に向かわないので排熱効率が非常に悪くなっている。ファンは排出されずにこもった熱をかき回しているだけなのでCPUの冷却がぜんぜん追いついていないのである。(しかも小口径ファンなので回転音も非常にうるさい)。ヒートシンクなどは手で触れられないほどアチチ、アチチ燃えているんだろーか状態。
この烈火のごとき発熱は、もはやファン冷却などなまぬるい。

 

■Step 2

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*ラジエターのスタンドは別売りです。

さっそく水冷化に挑むわけだが、今回のご要望は安定動作+できるだけローコストのご要望。(静音性についてはそれほど気にしないとのこと)
条件を満たせる水冷装置の中からセレクトしたのは3R SYSTEMのPOSEIDON WCL-02 120CU。オールインワンでありながら実売10000円前後の低価格で昨今人気を博する水冷キットである。このキットをなんとかPowerMac(DA)で運用するべくチャレンジしてみた。

 

■Step 3

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ひとまずCPUヘッドのセッティングをチェックしてみたのだが、いきなり問題にぶち当たる。POSEIDON付属の水冷ヘッドは垂直方向にホースが繋がれているため、取り回しにかなりのスペースが必要。PowerMac(DA)の場合はホースのバルブが電源部に干渉してハッチが閉じられない状態になってしまうのである。 これについてはどうしようもないので代替の水冷ヘッドを利用することにした。

ホースのバルブコネクタが設置面と平行に配置されている水冷ヘッドを探した末にたどり着いたのがKoolanceのCPU-300-H06。性能も300Wの熱源にも対応できるという優れもの。(もちろんポンプとラジエターの性能次第だが)
この水冷ヘッドであれば垂直方向にホースが伸びないのでPowerMac(DA)でも設置が可能になる。

 

■Step 4

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実際に水冷ヘッドを取付けるにあたり、難しいのがその固定方法。
なるべくコストをかけないことを考慮して、今回はspirica謹製Cube用拡張ヒートプレートを流用することにした。Cube用拡張ヒートプレートそのままでは筐体ハッチ開閉時にDVDドライブ部に干渉してしまうので全長を短く調整し、CPUカード両脇のコネクタ回避のためにアルミブロックをCPUコア部に敷いて底上げを行った。

 

■Step 5

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固定にはspirica水冷アダプタ(WCA-01)を利用。(水冷ヘッドとヒートプレートの設置面を広げるために熱伝導シートも使用)
さらには、ホースの取り回しを効率的に行うために筐体背面通気口の穴をリーマーで広げて直接通すことにする。

 

■Step 6

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水冷キット自体の組み立てはそれほど難しいものではないが、ポンプとラジエターとの配置、ホースの長さには注意が必要である。
WCL-02 120CUはラジエターとポンプが別になっているのだが、設置時にはなるべくコンパクトに配置したい。見た目は今ひとつかもだが、ポンプをラジエターの上に積み重ねることにした。(ポンプは厚手の強力両面テープで固定。振動抑制も兼ねるはず)

 

■Step 7

セッティングはOKとあいなり、冷却水(キットに付属しています)をポンプに注ぎ、PowerMacの電源を入れる。ポンプとラジエターのファンは筐体内のDC12Vから引き出されているので、勝手に連動されて動き出す。
ゴボゴボとホース、CPU水冷ヘッドに水が行き渡り、CPUの熱との闘いが開始された。

稼働させてみて最初に驚いたのはポンプが非常に静かなことである。低価格な水冷キットのポンプはうるさいことが多くあるのだが、耳を近づけても音はほとんど気にならない。30分ほど稼働(使用OSはOSX10.3.9です)させた後でおそるおそるCPUのヒートプレートを触ってみたのだが表面はほんのり暖かい程度。実測では34.3℃という低温度である。しかもラジエターのファンコントローラーは最弱設定でありながらこの冷却性はスゴい!

 

■Step 8

水冷化したマシンは快調そのものであり、何時間経っても動作に不安は無い。
結果として作業は大成功といえる。今回は冷却性の優先を念頭に置いていたものの、ポンプと12cmファンの稼働音が想像以上に静かであったのはうれしい誤算。
もちろんReserator1などのファンレスラジエーターには及ばないが、満足できる静音性は達していると思われる。(12cmファンはさらに低回転なものにも換装可能)
低価格でありながらも非常にポテンシャルの高いPOSEIDON。DualCPUの発熱をここまでねじ伏せるとは賞賛に値する。DualCPUにアップグレードしたPowerMacG4ユーザーには導入を是非ともおススメしたい逸品である。


 

依頼者のSASUKEさまより水冷化のご感想をいただきました!

■水冷&超静音化の感想

まずは内部を拝見させて頂きまして、さすがにプロの仕事だと関心致しました。
CPUの電源部分のシートシンクやケーブルの処置、はたまた私が無理矢理こじ開けた電源ケーブルの穴の処置等、細かいところまでご配慮頂き、正直、感動致しました。プロと言ってしまえば当たり前なのかも知れませんが、それ以上にMacに対する愛情のようなものまで感じられ、今回、spiricaさんにお預けして本当によかったと我ながら納得している次第です。

水冷化に関しましては、お願いした時点の想定をはるかに超えて、大感激です。
こんなに効果のあるものとは考えもしませんでした。どうしようもなかった暴れん坊をここまで鎮めて頂いて、なんと表現すればよいものか・・・

この水冷化のお願いは、ものは試しにといったレベルでは無く、本当に万策尽きての果てのものでした。それがこのように見事に、しかも何ら他の支障を伴わずに実現されたことに驚愕します。
最近の7447タイプならいざ知らず、旧型の7455まででのアップグレードの場合、間違いなく必須アイテムではないでしょうか?

こうして静かな環境になってみると、正直、とまどっています(笑)。
平日は深夜しか使うことがないだけに、よく考えれば、一番先になんとかしないといけない部分だったのでは、と反省するしかありません(笑)。

高性能や高機能を求めるのなら、新しいマシンに買い替えるのが効率がよいのは重々承知してはいるのですが、一度使ったマシンにはどうしても愛着が湧いてしまうのと、アップグレードという方法には、効率を超えて、出来の悪い息子が突然成績がよくなったような、不思議な感動があって(どんな例えやねん)、一度はまるとどうしても抜けられないんですね。

今回のご対応、心より感謝申し上げます。
本当にありがとうございました。