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PowerMac MDD 静音化

Others Vol.001

福島県にあるペンション会津六名館さまよりご依頼を受け、PowerMac MDD 1.2G Dual の静音化に挑戦。お話ではDVDを編集するために購入したものの、動作音がうるさすぎて困っているとのこと。確かに静かな山里にPowerMacMDDの轟音は許せません!イシダ製作所が総力をあげて取り組みました。

 

■Step 1

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送って頂いたPowerMacMDDは1.2GDualのフラッグシップマシン。依頼を受けつつも、いったいどれほどのパフォーマンスがあるのかと興味津々、胸どき どきのこころもちでマシンを設置した。さっそく電源をいれて驚かされたのは噂どおりのマシンノイズ。 以前に店頭で開腹されたMDDの音を聞いたことはあったのだが、自宅で稼働させるとにこれほどまでにうるさい音がするとは思わなかった。(たとえるなら小型掃除機の音) 夜であれば、隣の部屋からでも稼動音が聞こえて来る。最初は轟音ばかりに気を取られてしまったのだが、次に驚かされたのはマシンのパフォーマンである。とにかくすべての動作が速い。思考のスピードに遅れる事無く操作が出来るって本当に気持ちの良いことであると再認識させられてしまう。

だが、この素晴らしいパフォーマンスに感心すればするほど、残念に思えてくるのは部屋中に轟くマシンノイズである。

この轟音さえなければ・・・。

憤りにもにた溜息と同時に、このモンスターマシンをなんとか手なづけたいという気持ちが沸きあがってくるのであった。

 

■Step 2

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まずはノイズ源をチェック。(音が大きい順に列挙)

・電源のファン音
・HDDの音(IBM120GXP 3台)
・CPUファンの音
・ロジックボード上に取り付けられた5インチドライブの冷却ファン

マシン内で音を立てるのはこの4点。さらに解析。

・ロジックボード上の5インチドライブ冷却ファンは6cm角でかなり静音タイプのファンが使われており、耳を近づけないかぎりノイズは聞こえてこない。筐体を閉じれば影響なしと考え、交換の必要なし。
・CPUファンは六名館さまが予めMicroSolution社のCOOL GAP FRAME FANを取り付け済み。通常稼働時は低中速で回り、かなり静か。これも交換の必要なし。
・HDDは残念ながら7200回転のIDEドライブの中で最もうるさいと悪名高いIBM 120GXP。起動直後はは3台ともスピンアップするので複合すると結構なノイズを発生する。しかしながら、購入直後のHDDを総入れ替えはあまりに不経済なので今回は交換を見送り。
・一番うるさいのが電源のファンノイズ。総ノイズ源の80%は電源ファンの音であり、これが諸悪の根源といっても過言ではない。静音化には電源内部ファンの交換が必要と考えるがMDDが保証期間内ということで一旦は手をつけないことにする。

 

■Step 3

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電源内部ファンの交換なしでどれだけ静音化できるか試してみた。

行った処置

・上部パネルに吸音材をはさみ込む
・前面パネル上部に吸音材をはさみ込む
・側面パネル一部にウレタンをはさみ、筐体のビビリを低減
・電源の一部に吸音材を貼り付け(全面に貼るのは放熱的に問題あり)
・電源ファンの吸気口にフィルターを取り付け

そして結果だが。虚しくも効果がほとんどわからなかった・・・ それほどまでに電源ファンの音は大きく、通常のレベルを超えたものであると再認識。

ここで六名館さまに電源ファンの交換を提言したところ、「やっちゃってください。」と快諾をいただく。そしていよいよ、轟音の核心部、電源ファンの交換に挑むことに。

 

■Step 4

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PowerMacMDDでは電源は2本のネジのみで固定されている。ネジを外し、電源自体を横にスライドして留め具からはずす仕組みになっているのだがこれが結構かたくて難儀した。(外すのに20分かかった) やっとのことで電源を外し、電源カバーを開け、2個の6cm角ファンを確認。 電源内のファンはDELTA社の超高速回転ファンが2個取り付けられていた。MDDはCPUの温度によって電源ファンの回転をコントロールしてはいるが、この超高速ファンはたとえ弱設定でもブンブン回って騒音を発生してしまうのだ。

交換用に用意したのはミネベア社の6cm角静音ファン2個。同じものを2つ着けるのではなく、少し工夫をこらしてみる。電源内部は大きく2つの部屋に分かれている。トランス、コンデンサなど発熱が多いものが集中する方に中速ファンを、もう一方の方に低中速ファンを 取り付ける。低中速ファンはファン自体に温度センサーが搭載されているものを使用し、さらに厳密に温度管理を行うようにする。

 

■Step 5

ファン交換を無事に終え、電源を取り付け直して起動チェック。電源ファン交換の効果はすぐにあらわれた。部屋中に響き渡っていた高周波のファン音は抑制され、あからさまなファンノイズへの嫌悪感は無くなった。全体的には40~50%のノイズ低減といった感じで、本体を机の下に置くならば我慢できるレベルである。少なくとも、隣の部屋から稼動音が聞こえることはない。もっと静かなファンを取り付けることも可能ではあるが、電源の熱負担を考えて今回はここまでの改良に留めておくことにした。また、電源ファンが静かになったことによってHDDの回転音がはっきりと聞こえるようになってしまったが、これは今後のHDD交換で確実に解消することができる。

 

■所長の総評

PowerMacG4のフラッグシップマシンを実際目の当たりにし、その驚くべきパフォーマンスと拡張性においては十二分に納得させられた。しかしながら、この素晴らしい性能の代償として猛烈にうるさい電源を搭載してきたことは全くもって歓迎できない。PowerMacMDDがXserveのテクノロジーを引き継いでいるとはいえ、電源までを1Uサーバーと同規格のものを使用することはない。サーバーの電源が静音性を考慮しなくて良いのは サーバールームで使用するからなのである。いくらPowrMacG4がプロ向けであることを主張しても、この騒音レベルは確実にパーソナルコンピューターの範疇を超えているのではないだろうか。(マシンの騒音について、Appleからまったくコメントしないのも購入者に対してアンフェアである)

現行のPowerMacの筐体デザインがすでに限界に達していることはもう明らかである。(大きなデザインはG3から変わっていない)早急にパフォーマンスと静音性のバランスがとれた新筐体デザインのPowerMacが登場することを切望する。特に、フラッグシップマシンは夢のあるマシンであり続けてほしい。Cubeという静音性とパフォーマンスのバランスの取れたすばらしいマシンを開発した会社なのだからそれが出来るはずである。